2024.03.18 老人保健施設松和苑 富田病院 介護医療院 「令和5年度 健康教室」
老人保健施設松和苑 理学療法士の倉地です。
今回は「これだけは知っておきたい誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん」について
お話しさせていただきます。
□誤嚥性肺炎とは
本来、気管に入ってはいけないものが気管に入り込む事を「誤嚥」といい、誤嚥によって細菌やウイルスが肺に入る事を誤嚥性肺炎」といいます。高齢期に肺炎になると、命に関わる事もある為、誤嚥を引き起こさない工夫が必要です。
□誤嚥性肺炎の危険性が高い人
ご高齢の方
→食べ物を飲みこんでも、のどに残りやすい
・食べ物を十分噛めない、口や舌・のどの筋肉及び筋力が落ちている
・唾液の出る量が少ないことなどが影響
→食べ物などが誤って気道に入っても、せき込まない、またはせき込みが弱い
・のどの筋肉及び筋力が落ちている
・のどの反射が弱いことなどが影響
→高齢になると、唾液の分泌量が減り、噛む力や飲み込むも弱くなる
・食事中にむせやすくなったり、誤嚥しやすくなる
□誤嚥性肺炎を防ぐには
誤嚥は病気によって嚥下反射が障害されたり、食道が狭くなったり、加齢によって飲み込む力が弱くなることで起こります。防ぐためには筋力アップを図り、飲み込みのトレーニングなどが効果的と言われています。
今回は明日からできる予防法と対策についてご案内致します。
- 食べ物を工夫しましょう!
《方法1》トロミをつける
・市販のとろみ剤(薬局やスーパーで販売されています)
・料理で工夫(あんかけ料理、卵とじなど)
《方法2》むせ込みやすい食べ物を事前に把握する
・誤嚥しやすい食べ物
- 水分が少ないもの
パン、カステラ、クッキー、いも類、ゆで卵などは、パサパサして口の中でまとまりにくいので、水分を一緒に取りましょう。 - 口の中にくっつくやすいもの
焼き海苔、ワカメ、もなかの皮、薄切りキュウリなどの生野菜、だんご、あんこなどは上あごや、のどなどにくっつきやすいので気をつけましょう。 - つるっと入りやすいもの
ところてん、こんにゃく、桃の缶詰、刺し身など、つるっとした食べ物は、噛まずに飲み込んでしまい、のどに詰まらせることもあります。 - さらさらの液体
嚥下に問題がある人ではお茶や水などの液体も誤嚥の原因になるので、とろみをつけたりゼリー状にします。 - 小さいもの
ごまや大豆、ピーナツなどは息を吸い込んだときに気管に入ってしまうこともあります。 - 酸味の強いもの
酢の物や柑橘類、梅干しなどはむせ込みやすくなります。
- 食べ方を工夫しましょう!
《方法1》食事の姿勢を見直す
・①あごを引く ②椅子に深く腰掛ける ③かかと床につける
《方法2》のどが通りをよくするポイント
・食事の前に水分をとり、のどの通りをよくする
・一度に多くのものを詰め込まない(ゆっくりと焦らず食べる)
- もしも自身や家族が誤嚥してしまったら・・・
誤嚥が起きると、せきが出たり、むせたりします。軽い場合は、
次のような対処をしてください。
□前屈姿勢にして背中をさする
前屈姿勢にして、背中を下から上へさすり、「せきをしてください」と声をかけながらせきを出しやすくしましょう。
治まらないようなら、背中を軽くトントンとたたきます。決して、背中を強くたたいてはいけません。
□お茶や水は、誤嚥が悪化する場合もあるので、落ち着いた後にしましょう
□呼吸困難になったときは・・・
以下の症状が表れたときは、すぐに救急車119番を呼びましょう!
・顔面や唇が紫色(チアノーゼ)になる
・手で首をかきむしるチョークサインがある
・せきも声も出なくなる
□救急車が来るまでの間にできること
・指で異物を掻き出す
《異物の掻きだし方》
- ガーゼやハンカチを指に巻きます
- 本人を横に寝かせます(入れ歯を外します)
- 異物を掻き出します
□呼吸困難になったときの救急救命法
・ハイムリッヒ法(腹部圧迫法)
- 本人の背後にまわり、ウエストに手を回します。
- 片手でげんこつをつくって、みぞおちに置きます。
- もう一方の手で手首を握り、手首を握った手で弾みをつけて勢いよく、げんこつをみぞおちに押しつけて腹部を圧迫します。
※妊娠中の人や子どもには行わないようにしてください。
・背部叩打法
- 本人の背後にまわります。
- 手の平のつけ根で、肩甲骨の間を力強く何度も叩きます。
- どちらか一方を行っても効果のない場合は、もう一方を試してみます。
意識がなくなった場合は、急いで救急車を呼びましょう。講習を受けたこと
がある人は、心肺蘇生を行ってください。
誤嚥が起きたら、早めに対処することが大切です。
このようなポイントを頭に入れておきましょう。
《最後に》
この記事を読んだことをきっかけに、
生活の中で、ふと「誤嚥性肺炎の対応策」を思い出していただけたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。